かつて幼き頃に馴染みであった朝倉、霧雨、稗田、本居。四人の少女達は気が付けば一人が科学を求めて外界へと旅立ち、一人は魔道へ歩み出し、そしてまた一人が身を固めて家を支える未来を選んだ。ただ一人少女のまま、いまだ未来を選ぶこともなく残された本居小鈴もまた、否応なく選ばざるを得ない。時の流れは路傍の小石など見向きもすることなく、ただ延々と移ろい続けるのだから。そして、三十を前に息を引き取った阿求の死を皮切りに、小鈴は己が選んだ道を行く。たとえ凡人である己にはどう足掻いたって、凡庸なる道しか選べないとしても。